保護活動の本音

厳しさの先に何を見る?保護活動でモチベーションを保つ難しさ

Tags: 動物保護, ボランティア, モチベーション, 活動の厳しさ, 心のケア

モチベーションの波と向き合う日々

動物保護ボランティアの活動は、時に私たちの想像を遥かに超える厳しさを含んでいます。命を救う喜びがある一方で、どうにもならない現実、積み重なる疲労、そして何よりも精神的な負担が、活動を続ける上での大きな壁となります。特に、数年という期間を経て活動の「日常」に慣れてきた頃に、初期の衝動や熱意だけでは乗り越えられない壁にぶつかることが多いように感じます。それはまさに、活動を続けるモチベーションが試される瞬間です。

私自身、活動を始めて数年が経った頃、幾度となくモチベーションの低下に直面しました。最初は「一匹でも多くの命を救いたい」という純粋な思いで突っ走ることができましたが、経験を積むにつれて、目の前で起こる悲惨な出来事、救えない命がある現実、そして保護活動を取り巻く複雑な問題を知るにつれ、無力感に苛まれることが増えました。

心をすり減らすリアルな現実

モチベーションを奪う要因は多岐にわたります。例えば、懸命なケアにも関わらず、救うことができなかった命と向き合う時。その悲しみや後悔は、簡単には消えません。また、活動への理解が得られなかったり、心ない言葉をかけられたりすることもあります。保護には莫大な費用がかかりますが、資金集めの苦労も絶えません。常に資金不足と隣り合わせで活動を続けるプレッディングは、想像以上に重いものです。

さらに、ボランティア間の人間関係も、時に複雑な問題を生むことがあります。皆、動物を救いたいという同じ目的で集まっているはずなのに、意見の対立やコミュニケーションの行き違いから摩擦が生じ、活動の場が心の負担となることもあります。活動以外の仕事や家庭との両立も容易ではなく、時間的、体力的な疲弊もまた、モチベーションの維持を難しくさせます。

これらの現実が積み重なると、「なぜ自分はこんなに大変な思いをして活動を続けているのだろうか」「何のためにやっているのだろうか」という根本的な問いが頭をよぎるようになります。初期の燃え盛るような情熱は落ち着き、活動の意義そのものを見失いそうになることもありました。

厳しさの中に見出す「小さな光」と継続のヒント

では、こうした厳しさの中で、どのようにモチベーションを保ち続けることができるのでしょうか。私自身の経験から言えるのは、それは決して「常に高いモチベーションを維持する」ということではない、ということです。モチベーションには波があり、下がることがあっても、それを自然なこととして受け入れることが大切だと学びました。

そして、活動の厳しさばかりに目を向けるのではなく、「小さな光」に意識を向けることが助けになります。例えば、保護した動物が新しい家族のもとで幸せそうに暮らしている写真を見た時。心を開かなかった動物が、少しずつ人間に慣れてくれた瞬間。活動仲間と困難を乗り越え、達成感を分かち合った時。こうした一つ一つの経験が、活動を続けるための大切な栄養になります。大きな成果だけでなく、日々の小さな進歩や喜びを見逃さないこと。それが、枯渇しそうな心を潤してくれるのだと感じています。

また、自分一人で抱え込まないことも重要です。同じような悩みを抱える活動仲間と話すことで、共感が得られ、心が軽くなることがあります。互いの経験を共有し、励まし合うこと。それは、活動を続ける上で欠かせない心の支えとなります。時には、活動から少し距離を置き、心身を休める勇気も必要です。燃え尽きてしまっては、元も子もありません。自分自身の心のケアも、ボランティア活動の一部だと考えるようにしています。

厳しさと共に歩む道

動物保護ボランティア活動におけるモチベーションの維持は、容易なことではありません。理想だけでは続かない厳しさがあり、幾度となく心が折れそうになる瞬間があります。しかし、その厳しさの中で、私たちは命の尊さや、他者と支え合うことの大切さを学びます。そして、小さな命が自分たちの手によって救われ、幸せになる姿を見る時、活動の厳しさを乗り越えるだけの、大きな喜びとやりがいを感じることができます。

モチベーションは常に一定ではなく、上がったり下がったりを繰り返しながら続いていくものです。大切なのは、その波と上手く付き合いながら、活動の厳しさの中にも存在する「小さな光」を見つけ続けること、そして、自分自身の心と体を大切にすることではないでしょうか。この経験が、今、同じようにモチベーションの波と向き合っている方にとって、少しでも共感や励みになれば幸いです。活動から得られる学びや喜びを胸に、これからもこの厳しくも尊い道を歩んでいきたいと思っています。