保護活動と身近な関係性。家族や友人に「なぜそこまで?」と言われたら
活動と身近な関係の難しさ
動物保護活動に身を置いていると、様々な感情や現実に直面します。命を救う喜び、向き合う困難、そして、活動を続けていく上でのモチベーションの維持など、このブログではそうした「本音」の部分に焦点を当ててきました。
活動を始めたばかりの頃は、目の前の小さな命を救いたい一心で、周りのことなどあまり気にならないものです。しかし、数年と活動を続けていく中で、避けて通れない問題の一つが、家族や友人といった身近な人との関係性です。
彼らは活動を応援してくれることもありますが、時には「なぜそこまでやるの?」「自分の生活を犠牲にしすぎでは?」「体調を崩さないか心配」といった言葉を投げかけられることがあります。悪意があるわけではないと分かっていても、こうした言葉にどう向き合えば良いのか、悩んだ経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
理解されないことへの戸惑い
私自身も、活動初期の頃は特に、家族や友人からの心配や、時に戸惑いの視線に晒されました。週末はほとんど家にいない、いつも動物のことで頭がいっぱい、時には傷ついた動物を見て落ち込んでいる。傍から見れば、どこか危うげに見えたのかもしれません。
「そんなに大変なら、少し休んだら?」「他の人に任せればいいじゃないか」
こうした言葉を聞くたびに、私の心はチクリと痛みました。もちろん、私のことを心配してくれているのは理解できます。しかし、保護活動というのは、簡単に「休む」「任せる」という選択肢が取りづらい状況が多々あります。目の前に助けを求めている命があれば、放っておくことはできませんし、関わっている命に対して責任も感じています。
また、保護動物の医療費やフード代といった経済的な負担についても、身近な人にはなかなか理解されにくい部分かもしれません。「なんでそんなにお金をかけるの?」と聞かれたこともあります。これは、動物を家族として迎えるという感覚とは少し異なり、「保護して次に繋げる」という特殊な活動形態ならではの難しさだと思います。
感情の衝突と向き合い方
特に難しかったのは、保護活動で心が疲弊している時に、身近な人から心ない言葉をかけられたり、活動を否定的に捉えられるような発言を聞いたりした時です。活動で受けた心の傷が癒えないまま、さらに人間関係でも悩みを抱えることになり、二重の苦しみを味わうこともありました。
こうした状況に直面した時、私はいくつかのことを考えるようになりました。
一つは、相手は私の活動の全てを知っているわけではない、ということです。保護活動の現場には、美談だけではなく、目を覆いたくなるような現実も、地道な作業もたくさんあります。そうした具体的な状況を知らずに、表面的な情報や「大変そう」というイメージだけで判断しているのかもしれません。だから、感情的に反発するのではなく、まずは冷静に活動の一部を伝える努力をしてみることにしました。もちろん、全てを話す必要はありません。相手が理解できそうな範囲で、活動の意義や、私自身が活動から得ているものを少しずつ伝えるように心がけました。
もう一つは、完全に理解を得ることは難しい場合もある、という現実を受け入れることです。活動への価値観は人それぞれです。動物に対する考え方も違いますし、時間やお金の使い方に対する考え方も異なります。身近な関係性だからといって、必ずしも自分のやっていることを全面的に肯定してもらえるわけではありません。重要なのは、私がなぜこの活動をしているのか、その理由を自分自身がしっかりと理解し、納得していることです。
家族や友人の言葉に傷つくことがあっても、それは私の活動の価値を否定するものではない。そう自分に言い聞かせることで、少しずつ心の距離を取ることができるようになりました。彼らの心配は私のことを思ってくれているからこそ、と感謝しつつも、活動を続けるという私の意志は揺るがない、という強い気持ちを持つことが大切だと感じています。
活動を続ける理由を再確認する
身近な人との関係で悩んだ時、私が立ち返る場所は、やはり「なぜ私はこの活動をしているのか」という問いです。
瀕死の状態から回復し、新しい家族のもとで幸せそうに暮らす動物の姿。 最初は人間を怖がっていた子が、心を開いて甘えてくれるようになった時の温もり。 小さな命を看取る時に感じる、深い悲しみと、精一杯生き抜いた命への畏敬の念。
こうした一つ一つの経験が、私の中に確かに積み重なっています。活動は決して楽ではありません。心身ともに疲弊することもあります。それでも、この活動からしか得られない喜びや、命と真剣に向き合うことで得られる学びがあるのです。
家族や友人からの「なぜそこまで?」という問いは、自分自身の活動への向き合い方を改めて考えさせられる機会でもあります。彼らの言葉を、単なる否定としてではなく、自身の活動の意義や、自分が本当に大切にしたいものを再確認するためのきっかけとして捉えることもできるかもしれません。
最後に
保護活動は、時に孤独を感じる道のりでもあります。特に、身近な人からの理解が得られない時は、その孤独感がより一層深まることもあるでしょう。
しかし、あなたは決して一人ではありません。同じように悩みながら活動を続けている仲間が必ずいます。そして、あなたの活動によって救われた命、幸せになった動物たちがいます。
身近な関係性における葛藤は、保護活動を続ける上で避けては通れない現実の一つです。完全に理解を得ることは難しくても、自身の活動への信念を持ち続け、自分自身が納得できる形で活動に関わっていくことが何よりも大切だと感じています。
あなたの活動が、少しでも多くの命を救う光となることを願っています。そして、どうかご自身の心も大切にしてください。