保護活動の本音

譲れない思いがぶつかる。保護活動におけるボランティア間の本音

Tags: 保護活動, ボランティア, 人間関係, 悩み, 葛藤

動物への思いがあるからこそ、ぶつかってしまうこと

動物保護活動というと、救われた命の輝きや、新しい家族と巡り合う喜びなど、美しい側面が語られることが多いように感じます。もちろん、それらは活動の大きなやりがいであり、かけがえのない瞬間です。しかし、この活動を数年続けていると、理想だけでは語れない現実にも数多く直面します。その一つが、ボランティア間の人間関係の難しさです。

私たちは皆、目の前の動物を助けたい、幸せにしたいという強い思いを持って集まっています。だからこそ、動物のために最善だと思う方法が異なったとき、意見がぶつかりやすくなるのかもしれません。互いに真剣であるがゆえに、些細なことでも感情的な対立に発展してしまうことがあります。

活動現場で直面した意見の相違

私自身も、活動の中で何度か人間関係で悩んだ経験があります。例えば、一時預かりしている保護動物のケアの仕方について、他のボランティアさんと意見が分かれたことがありました。その子の健康状態や性格を考慮し、私はある方法が最適だと考えていましたが、別のボランティアさんは過去の経験から別の方法を強く推されました。

お互いに動物の幸せを願ってのことなのですが、「このやり方でなければこの子は助からない」といった強い信念があるため、どちらも一歩も譲れない雰囲気になり、話し合いが感情的になってしまいました。

また、譲渡の条件や、限られた資金の使い道、イベントの進め方など、活動に関わるあらゆる場面で、価値観や考え方の違いから摩擦が生じることがあります。動物のために、と始めた活動で、気づけば人との関係に心をすり減らしている。そんな自分に嫌気がさしたり、活動そのものから距離を置きたくなったりすることもありました。

「せっかく動物のために集まっているのに、どうしてこんなにギスギスしてしまうのだろう」という疑問や、解決できないもどかしさを感じた経験は、私だけではないと思います。

摩擦から学び、どう向き合っていくか

このような経験を経て、私は「人間関係の難しさは、この活動における避けられない現実の一つなのかもしれない」と考えるようになりました。そして、それは決して悪いことばかりではない、とも。

意見がぶつかるのは、皆が真剣だからこそです。異なる視点があるからこそ、気づけなかった課題が見つかることもあります。大切なのは、感情的にぶつかり合った後、いかに冷静に、建設的に話し合いを進められるか、ということだと思います。

私の場合は、一度感情的になってしまった話し合いの後、時間をおいてから改めて、なぜ自分はその方法が良いと思ったのか、相手はなぜそう考えるのかを、できるだけ客観的に伝える努力をするようになりました。また、時には「意見は違うけれど、最終的な目標は同じ動物の幸せだ」という共通認識に立ち返ることも、冷静さを保つ助けになっています。

もちろん、どうしても分かり合えないこともあります。その場合は、全ての人と深く関わる必要はないと割り切り、必要最低限の協力関係を保つことも選択肢の一つかもしれません。自分の心の平穏を保つことも、活動を長く続けていく上では非常に重要だと実感しています。

人間関係の壁を乗り越え、活動を続けるために

人間関係の悩みは、保護活動を続ける上での大きな壁の一つです。動物のためにと思って始めたのに、人との関わりに疲れて活動から離れてしまう方がいるのも事実です。

しかし、このような困難がある中でも、私たちは動物たちのために活動を続けています。人間関係の難しさに向き合う中で、他者への理解を深めたり、自分の感情との向き合い方を学んだり、あるいは「それでも活動を続けたい」という自身の強い意志を確認したりすることも、成長の一つだと感じています。

完璧な人間関係を築くことは難しいかもしれません。意見の相違や摩擦は、これからもゼロにはならないでしょう。それでも、困難な状況にある動物たちのために、志を同じくする仲間と協力し合い、小さな命を繋いでいくこと。その活動自体が持つ大きな意味と、動物たちがくれる無条件の愛が、私たちが壁を乗り越え、活動を続けていくための最大の原動力であると信じています。